さいたま市の2024年(令和6年)4月1日時点の保育所の待機児童が0人になったことが、2024年4月25日に公開されました。
待機児童0は3年連続となります。
公開されたデータを詳しく確認し、今までの待機児童の経緯、少子化だけど保育園を利用する割合は急増、隠れ待機児童、1歳児クラスの利用保留児童数の割合の高さ、今後のさいたま市の保育施設についてお伝えします!
さいたま市3年連続待機児童0へ
2024(令和6年)4月1日、さいたま市の待機児童が3年連続「0人」になりました。
さいたま市の直近8年間の施設数、定員数、待機児童数の推移です。
2017年(平成29年)に0人だった待機児童は、国の待機児童のカウント基準の変更もあり、2018年(平成30年)に一気に300人超えに。
3年間厳しい状況が続き、2020年(令和2年)には待機児童数全国ワースト1となってしまいました。(政令指定都市でそもそも子どもの人数が多いので、「数」はワーストでしたが「率」ではワーストというほどではありませんでした)
しかし表の青線のように施設数・定員数を急増させ、コロナ禍の保育所利用控えもあり、2021年(令和3年)は激減して11人に、そして2022年(令和4年)以降は「待機児童数0」となりました。
2017年(平成29年)は待機児童数0でしたが、その前に待機児童がいなかったわけではありません。以下、さかのぼれる範囲でさいたま市の待機児童数を表にしました(各年4月1日時点)。
年 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
人数 | 143 | 126 | 117 | 128 | 95 | 24 | 0 | 315 | 393 | 387 | 11 | 0 | 0 | 0 |
少子化だけど保育園を利用する割合は急増
さいたま市は9年連続ファミリー世帯の流入数がダントツ全国1位、宅地開発され大規模マンションは建ち、人口が増え続けています。
実はそれでも、急激な少子化の影響でさいたま市でも毎年未就学児の数は減り続けています。(下の表の一番上、「就学前児童数」)
令和5年からは、2年連続で4桁の未就学児が減っています。
じゃあなんで、さいたま市に保育園が作られ続けている?
保育園の利用申込者数が毎年増え続けているからです。(下の表の上から2番目、「利用申込者数」)
(毎年未就学児減を上回る数で申込者が増えていましたが、今回令和6年では申込者増はブレーキがかかっています)
特筆すべきはその申込率の急増ぶり。(下の表の上から3番目、「申込率」)
毎年数%ずつ上がっていき、2017年(平成29年)には30.8%だったものが、7年後の2024年(令和6年)には49.2%となっています。
下の表は令和4年に公表されたものに、令和5年・6年分を筆者が書き加えたものです。(現在はこの表が公開されていないため)
保育園に行きたい未就学児、「3人に1人以下」だったのが「2人に1人」になったんだから、それは足りなくなりますよね。
出産後も働き続ける女性の割合が急増しているんでしょうね。さいたま市の場合は立地的にも、夫婦で通勤しやすい場所として選ばれていそうなので、他の自治体より共働き世帯が多そうな感じはあります。
こんなに保育園に通う子どもの割合が増えると、幼稚園の経営は大変でしょうね。
「認定こども園」として、保育園機能を求める子どもを受け入れる幼稚園も毎年増えています。
さいたま市の「送迎保育ステーション」は、小規模園を卒園する子どもの受け入れ先として幼稚園を紹介する取り組みで、大宮・浦和・武蔵浦和の3か所に設置されています。
>>さいたま市送迎保育ステーション(さいたま市Webサイト)
隠れ待機児童はいるし希望の園に入れるわけではない
2024年2月の一次利用調整結果の時点では、不承諾数は去年から横ばいだったので、やはり今年も待機児童0になりましたね。
待機児童0人になったのはとても喜ばしいことで、さいたま市もがんばってくれているのですが、やはり「隠れ待機児童」はいるし、希望上位の園に入れるというわけでもありません。
今回の待機児童数の内訳の数字を詳しく見ていきます。
「利用申込者数(A)」が増えた(+772人)分、「利用者数(B)」も増えて(+850人)いますが、隠れ待機児童と言える「利用保留児童数(C)」は微減(-78人)しています。
「待機児童0人」ですが、以下の「利用保留児童数(計1,506人)」はカウントに含まれていません。
- 認可園に申し込みをしたものの叶わず認可外園等を利用(150人)
- 育休中のうち復職意思を確認できない(776人)
- 求職活動を休止している(子どもを保育しながら、主に在宅で求職活動している方を含む)(125人)
- 自己都合により内定を辞退、利用可能な保育所等の情報提供を行ったものの特定の保育所等を希望(455人)
また、上の図の内訳には記載がないのですが、「利用者数(B)」の中には「転園の希望の申込みをしたが、元の施設を継続利用する方」も含まれています。(公開されていた令和4年だと、426人が該当)
これらの方は「利用保留児童数(計1,506人)」に含まれていないものの、隠れ待機児童と言えるかもしれません。
以下、気になるポイントです。
D:認可園に申し込みをしたものの叶わず認可外園等を利用 | 認可園に入れる人が増えたことやナーサリールームが認可園に転換することも増えており減少はしている(待機児童数全国ワーストだった2020年(令和2年)は460人。その後187人→118人→189人→150人と推移) |
E:復職の意思を確認できない | 申込の段階で育休延長したいと届け出ている人を含んでおり、こういった延長目的の人は「隠れ待機児童」とは言えなそうだが、いろんなケースがあり仕方なく復職を断念した人もいると思われる。 |
F:求職活動を休止 | 子どもを保育しながら主に在宅で求職活動も含むということで、いろんなケースがあると思うが「保育園受からないから仕事も決まらない、だから断念」という方もいるのでは。 |
G:特定の保育所等のみ申込み等 | 「利用可能な保育所があるとは聞いたものの、実際に毎日そこに預けてから通勤することを考えると距離や立地的に辛すぎるから希望しない」「きょうだい別園になってしまうのが立地的にきつすぎる」「自分の希望とは大きくはずれた園しか空いておらずそれなら入らない」などそれぞれに理由がありそう。 |
ということで、利用保留児童計1,506人+転園の希望が叶わなかった人のうち、何人を本当の「隠れ待機児童」というべきかわかりませんが、「隠れ待機児童」はいます。
これは厚生労働省の定義によるカウントなので、さいたま市が待機児童のカウント方法をズルしているわけではありませんが・・・。
また、さいたま市は保育所の希望を30園まで書けるようになっており(もっと多く書くことも可能)、なんとか希望順位が低い園に滑り込んだという人もいて、それぞれの指数やお住まいの立地等条件にもよりますが、希望する上位の園に必ず入れるわけでもありません。
やはり1歳児クラスは「利用保留児童数」の割合が高い 2歳児クラスも上昇
この「利用保留児童数」1,506人の年齢別の状況も出ています。
毎年同様、やはり1歳児クラスの割合が高いですが、2歳児クラスもやはり去年より上がっています(2023年:183人・11.5% ⇒ 2024年:248人・16.5%)。
2月の一次利用調整時には、2歳児クラスは43.5%もの不承諾率となっていました。
この2月の不承諾率には新規入園希望だけでなく転園希望も含まれていますが、今回4月に出た「利用保留児童数」(転園希望は除かれている)も上がっているということは、2歳児クラスを新規で希望して思う通りにいかなかった方も多かったんですね。
「利用保留児童数」1,506人のうち、「育休中のうち復職意思を確認できない」が半分以上の776人いるので、その全員でないにしても、育休延長のためにあえて落ちた人も0歳児クラス・1歳児クラスには相当数いそうです。
さいたま市の保育施設の今後は?
現時点では、今後に向けて保育施設11施設の整備が予定されています。
さらに小規模園が加わると思われます。
新設ラッシュピーク時に比べれば増加数はゆるやかになっています。
今後の認可園整備の重点地域は、西大宮・東浦和とされています。今後の新設の期待です。
●さいたま市の保活関係記事はこちらにまとめています!
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