2022年4月23日、さいたま市の2022(令和4年)4月1日時点の待機児童が、0人になったことが報道されました!
公開されたデータを詳しく確認し、待機児童0までの経緯、コロナによる保育所利用控え?と意外なデータ、隠れ待機児童、今後のさいたま市の保育施設についてお伝えします!
さいたま市5年ぶりの待機児童0へ
2022(令和4年)4月1日、さいたま市の待機児童が5年ぶりに「0人」になりました!
さいたま市の直近5年間の施設数、定員数、待機児童数の推移です。
2017年(平成29年)に0人だった待機児童は、国の待機児童のカウント基準の変更もあり、2018年(平成30年)に一気に300人超えに。
3年間厳しい状況が続き、2020年(令和2年)には待機児童数全国ワースト1となってしまいました。(政令指定都市でそもそも子どもの人数が多いので、「数」はワーストでしたが「率」ではワーストというほどではありませんでした)
しかし表の青線のように施設数・定員数を急増させ、コロナ禍の保育所利用控えもあり、2021年(令和3年)は激減して11人に、そして今回2022年(令和4年)は「待機児童数0」となりました。
2017年(平成29年)は待機児童数0でしたが、その前に待機児童がいなかったわけではありません。保育所等利用待機児童数の状況をお知らせします(さいたま市Webサイト)でさかのぼれる待機児童数を表にしました(各年4月1日時点)。
年 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
人数 | 143 | 126 | 117 | 128 | 95 | 24 | 0 | 315 | 393 | 387 | 11 | 0 |
コロナによる保育所利用控え?意外なデータ
2021年に待機児童11人になったときにも言われていた「コロナによる保育所利用控え」。
今回もこのように報じられています。
「新型コロナウイルスへの感染不安から利用を控える市民は少なくないという(朝日新聞デジタル4月23日)」
「新型コロナウイルスの感染不安が解消されれば、保育需要がさらに高まる可能性もある(東京新聞Web4月23日)」
今回の待機児童数発表資料では、今まで公開されていなかったデータの意外な数字が。
え、さいたま市ってファミリー層増加は7年連続全国1位だけど、「就学前児童数」は毎年少しずつ減ってるんですね!?これは意外です。
でも保育所の「利用申込者数」は毎年増加する一方。時代の流れですね。幼稚園経営は大変そうです。
その2つを割った「申込率」が赤で囲まれてる部分(上)。うーん、「コロナによる利用控え」と言われているけど、ここ2年は40%超えでむしろ増えてるし、全然控えていない気が・・・?
この利用申込者数の内訳が以下の表です。前年度比、全体では増えてるけど新規の利用申込者数は減っていて、これが「利用控え」という意味のようです。
隠れ待機児童はいるし希望の園に入れるわけではない
待機児童0人になったのはとても喜ばしいことで、さいたま市もがんばってくれているのですが、やはり「隠れ待機児童」はいるし、希望上位の園に入れるというわけでもありません。
「待機児童0人」、以下の方(計1,754人)はカウントに含まれていません。
- 転園希望の申込みをしたが転園叶わず元の施設を継続利用(426人)
- 認可園に申し込みをしたものの叶わず認可外園等を利用(118人)
- 育休中のうち復職意思を確認できない(741人)
- 求職活動を休止している(子どもを保育しながら、主に自宅で求職活動している方を含む)(93人)
- 1施設しか申し込んでいない、自己都合により内定を辞退、利用可能な保育所等の情報提供を行ったものの特定の保育所等を希望(376人)
以下、気になるポイントです。
D:「認可園に申し込みをしたものの叶わず認可外園等を利用」は、認可園に入れる人が増えたことや、ナーサリールームが認可園に転換することも増えており、年々減少している(待機児童数全国ワーストだった2020年(令和2年)は460人。その後187人→118人と減少)
E:「復職の意思を確認できない」は、申込の段階で育休延長したいと届け出ている人を含んでおり、こういった延長目的の人は「隠れ待機児童」とは言えなそうだが、いろんなケースがあり仕方なく復職を断念した人もいると思われる。
F:「求職活動を休止」は、子どもを保育しながら主に在宅で求職活動も含むということで、いろんなケースがあると思うが、「保育園受からないから仕事も決まらない、だから断念」という方もいるのでは。
G:「特定の保育所等のみ申込み(1施設しか申し込んでいない、自己都合により内定を辞退、利用可能な保育所等の情報提供を行ったものの特定の保育所等を希望)」は、よくある「育休延長したいから1施設しか申し込まないでわざと落ちる」もそれなりに含まれていそうだが、「利用可能な保育所があるとは聞いたものの、実際に毎日そこに預けてから通勤することを考えると距離や立地的に辛すぎるから希望しない」「自分の希望とは大きくはずれた園しか空いておらずそれなら入らない」などそれぞれに理由がありそう。
ということで、計1,754人のうち、何人を本当の「隠れ待機児童」というべきかわかりませんが、「隠れ待機児童」はいます。
これは厚生労働省の定義によるカウントなので、さいたま市が待機児童のカウント方法をズルしているわけではありませんが・・・。
また、さいたま市は保育所の希望を30園まで書けるようになっており(もっと多く書くことも可能)、なんとか希望順位が低い園に滑り込んだという人もいて、それぞれの指数やお住まいの立地等条件にもよりますが、希望する上位の園に必ず入れるわけでもありません。
しかし、少なくても以前よりは状況が改善されていることは確かです。
さいたま市の保育施設の今後は?
さいたま市の保育施設の今後は?
清水勇人市長は22日の定例会見で「今後、保育需要がさらに増加することが見込まれる。楽観せず、様々なニーズに応えられる多様な保育の受け皿確保を図っていく」と述べた。
朝日新聞デジタル4月23日
すでに2023年(令和5年)4月開園の保育施設の情報も出始めており、さいたま市は引き続き整備を進めています。
「様々なニーズに応えられる多様な保育の受け皿確保」は幼稚園との連携も大きく含まれており、大宮・浦和で2022年4月から始まった幼稚園を利用する「送迎保育ステーション」は、2023年(筆者の推測)は武蔵浦和も予定されています。
しかしこの保育需要の増加も2030年がピークと市は見込んでおり、その後の整理に向けて、公立保育園の半減化計画も進み始めています。
●さいたま市の保活関係記事はこちらにまとめています!
まとめ
さいたま市の2022(令和4年)4月1日時点の待機児童が、0人になったことによる、待機児童0までの経緯、コロナによる保育所利用控え?と意外なデータ、隠れ待機児童、今後のさいたま市の保育施設についてお伝えしました。
「コロナによる利用控え」がどこまで続くのかはわかりませんが、今後もさいたま市の待機児童には注目です!
お気づきの点がありましたらコメントいただければ幸いです